
森口では揖保乃糸のほかにも、カレー麺やカレーパスタをはじめ、オリジナルの麺商品をたくさんつくっています。本当にいろいろな商品があり、商品開発はもちろんのこと、自信のある商品ができた後も「名前はどうする?」「パッケージはどうしよう」と考えることは尽きません。
以前にもロングセラー商品の「ひやむぎ 南極」について、「どうして南極という名前になったのか」というお話をしましたが、今回着目したいのは「すくね」です。
森口の商品には「宿祢もどり生うどん」「宿祢中華そば」、オンラインストアに新しく登場した「播州宿禰」シリーズがありますが、漢字は違えど、どちらも「すくね」と読みます。地元の方や歴史好きの方、もしくはマンガ「刃牙」がお好きな方ならすぐにピンとくるかもしれません。
「宿祢もどり生うどん」や「播州宿禰らーめん」シリーズの「すくね」は、古墳時代の豪族である野見宿禰(のみのすくね)にちなんでいます。野見宿禰は日本書紀に登場する相撲の神様で、森口製粉製麺がある兵庫県たつの市の「たつの」という地名の由来にも関わりがあると言われています。
野見宿禰は今の出雲国(島根)出身ですが、古墳時代の日本の中心地は大和国(奈良)。
当時、大和国には当麻蹴速(たいまのけはや)という相撲をとらせると右に出るものはいない強者がいました。もっと強い人はいないのかと探したところ、出雲に強者がいると知った天皇に招かれたのが野見宿禰でした。宿禰は見事に蹴速を破り、その試合を見て喜んだ垂仁天皇に仕えることになったと言われています。
相撲の神様として有名な宿禰ですが、埴輪の考案者とも言われています。当時は、天皇が亡くなると一緒に家来たちを生き埋めにしたそうですが、人を生き埋めにするのはよくないと、代わりに粘土でつくった埴輪を置くように勧めたのが野見宿禰だそうです。
長く天皇に仕えた宿禰ですが、出雲に戻る際に播磨国(兵庫)で病死します。大和国での宿禰の功績を知っていた播磨の人たちは、揖保川の河原から山の上まで一列に並んで石を渡し、宿禰のために立派なお墓をつくったという伝説があります。
そのときの「たくさんの人が立って並んでいる」風景から「立野(たちの)」と呼ばれ、それが現在の「たつの(龍野)」になったと言われています。
揖保乃糸の里である兵庫県たつの市の名前の由来となっているので、森口にとっては馴染み深い偉人なのです。
そんな野見宿禰の名前を冠した「宿祢もどり生うどん」は、森口の数ある商品の中でもインパクトの強い商品です。袋の中に入っているのは8の字でぐるぐると折り曲げられたうどん。なんと1本が約170cmと超長いのです。大人の男性の平均身長なみに長いので、座った状態で箸を上げても、終わりが見えることがありません。

長さもさることながら、「もどり生うどん」という独自の製法による新食感もインパクト大。一度乾燥させた後に蒸気を加えて半生状態にしています。そのため、茹で上がる際にでんぷんが化学反応して生まれる乾麺ならではのもっちり感はそのままに、生麺のようなツルツルとした喉越しを実現しています。
長い間茹でても崩れず、ちょっとくらいでは切れることもない長いうどんなので、そのコシの強さは野見宿禰の力強い相撲級。そんな思いから「宿祢もどり生うどん」という名前になっています。
野見宿禰の名前が付いている商品の2つ目は「宿祢中華そば」。昔ながらのパッケージのようでいて、野見宿禰がラーメンを食べているデザインがユニークな中華そばです。ラーメンスープが付いているので、具材を用意するだけで簡単に調理できるのが嬉しい商品となっています。
中身も昔ながらの中華そばという雰囲気がありつつ、かんすいの風味が強い独特な味わいの平打ちの中太ストレート麺と尾道ラーメン風の背脂のコクがきいた濃いめの魚介系スープはちょっと「クセが強め」。好きな人はめっちゃ好き!と何度もリピートいただいているファンもいらっしゃいますが、「スープはもっとあっさりでもいいかも」と思われるお客さまもいらっしゃる、好みがはっきり分かれる個性的な味わいが特長です。

同じシリーズで、クセが強めのツルッとした食感が魅力の麺はそのままに、酸味のある柑橘系のスープとの相性が抜群の「宿祢冷し中華」もあります。「これを食べて、冷やし中華の美味しさに気づいた」とおっしゃっていただいたこともあるほど、密かにファンの多い商品です。

どちらも宿祢という名前が付くだけあってパンチの強い中華そばとなっています。
そして今年オンラインストアに登場した「播州宿禰」シリーズ。こちらは埴輪を考案した野見宿禰のやさしい一面に倣い、動物性原料不使用のやさしい味わいが魅力となっています。ラーメンスープ付きの「播州宿禰らーめん 醤油味」と「播州宿禰らーめん ごまと野菜の豚骨風」の2種類、「播州宿禰 抹茶そば」というラインナップになっています。



原料にはかなりこだわっていて、ラーメンは北海道産の中華麺用の小麦、かんすい、食塩のみを使った細麺です。動物性原料は使っていないので、ラーメンスープも醤油味と豚骨風、どちらもあっさりとした優しい味になっています。これまで森口の商品にはなかった茶そばも、国内産の原料にこだわり、抹茶の香りとなめらかな食感が魅力のそばに仕上げました。
パッケージデザインは海外向けを意識したオシャレなデザインとなっています。相撲の神様である野見宿禰が日本らしさを醸しています。
野見宿禰のお墓もあり、森口直営店「麺乃家」もある、たつのの町へ。
というわけで、龍野ゆかりの偉人である野見宿禰にちなんだネーミングの森口の商品を紹介しました!どれも地元の偉人の名前に恥じない、森口自慢の商品ばかりです。
龍野の地名の由来となったと言われる野見宿禰のお墓は現在も兵庫県たつの市の的場山にあります。近くには、江戸時代に栄えた龍野城跡を中心に城下町があり、現在はたつの市龍野重要伝統建造物群保存地区に指定されていて、1年を通じて多くの観光客で賑わっています。森口製粉製麺が運営している「麺乃家」もあり、森口の商品を使った料理が楽しめるほか、森口の商品を購入することができます。もちろん、今回紹介した「すくね」が付いた商品も取り扱っています。
たつのは揖保乃糸のほかにもヒガシマル醤油さんをはじめとする醤油、龍野レザーなど名産品も多く、観光にもお買い物にも最適です。天気のいい日に歩く龍野の町は風情があってとても気持ち良いので、ぜひ遊びに来てください。