「揖保乃糸=そうめん」のイメージが強いですが、実は揖保乃糸には「ひやむぎ」や「うどん」、「中華麺」、「パスタ」などいろんな商品があるんです。揖保乃糸は兵庫県手延素麺協同組合のブランドなので、そうめん以外の商品にも使われています。定番のそうめんはもちろんのこと、手延べの技でつくられた揖保乃糸のうどん「宝播うどん」や揖保乃糸の中華麺「龍の夢」にもファンは多く、これまでそうめん(素麵)しか知らなかったという方にもぜひ一度ご賞味いただきたい一品です。
今回は、そんな揖保乃糸の歴史とそれぞれの商品についてご紹介していきます。
揖保乃糸がつくられているのは兵庫県の南西部。森口製粉製麺もある兵庫県たつの市を流れる一級河川の揖保川の軟水と、近くで良質の小麦が穫れること、赤穂の塩が手に入ること、そして穏やかな気候などが相まって、江戸時代の頃からそうめんづくりがさかんに行われていました。揖保郡太子町にある斑鳩寺に残されている日記の1418年9月15日に「サウメン」と書かれているのが播州そうめん最古の記録です。
播州でそうめんづくりがさかんになると、できの悪いものをたくさん作って売る人も出てきます。そこで、そうめん屋仲間が集まって品質などについての取り決めをすることで、「播州でつくられるそうめんは安心で美味しい」と認められるようになりました。そして明治に入ってから現在の組合の前身となる組織が設立されました。
「揖保乃糸」という名前は揖保川にちなんで命名されたと言われています。明治27年に組合の統一商標として登録されました。
揖保乃糸は手延そうめんです。棒状にしためん生地に撚りをかけてどんどん延ばしていきます。撚っては延ばしを繰り返すのですが、常に一定方向に伸ばしていくので、小麦粉に含まれるグルテンも一定方向に形成されます。これが手延そうめんならではの、「茹で伸びしにくい・なめらかな舌触り・コシのある歯切れのよい食感」の秘密です。機械製麺ではこうはいきません。
揖保乃糸では、この手延べの技術を生かして、昭和35年には手延ひやむぎ、平成22年には手延中華麺、平成26年から手延パスタを続々と発売。手延べならではの特徴はそのままに、そうめんとはまた違ったおいしさを提供することに成功しています。
答え:太さによって名前が変わる。
厳密には、そうめんとひやむぎ、うどんにはそれぞれ歴史があり、昔は違ったものと区別されていましたが、基本の原材料が小麦粉、水、食塩と共通しているため、明治時代になって製麺機ができてからは製造方法の違いが曖昧になってしまいました。そのため、現在は機械製法のJAS規格で定められた「麺の太さ」が基準になっています。
そうめんは1.3mm未満、ひやむぎは1.7mm未満、うどんは1.7mm以上、きしめんは幅3.5mm以上厚み2mm未満です。
ちなみに揖保乃糸のそうめんは特級で0.65~0.7mm、上級で0.7~0.9mm、やや太めな播州小麦で0.9~1.1mmとなっています。基準よりもずいぶん細めなのが特徴です。揖保乃糸のひやむぎは1.3~1.7mm、揖保乃糸の手延べうどんは平麺なので幅が2.9mm、厚みが1.4mmです。
揖保乃糸ではどれも手延べの手法でつくられているので、原材料の小麦粉、水、食塩に食物油を塗って延ばしています。同じ原材料でも太さが変われば、熟成や延ばしにも違いがあり、製造者の腕の見せどころです。
揖保乃糸ならではの手延べ製法でつくられた乾麺は、そうめんと同じ茹で伸びしにくい・なめらかな舌触り・コシのある歯切れのよい食感が特徴です。そして茹で時間が一般的な乾麺よりも短めなのが嬉しいポイントです。600年以上の伝統を活かしつつ、新しいアイデアで生まれた揖保乃糸の乾麺を是非堪能してください。
麺の厚み0.9mm、幅3.6mmと薄くて平たい麺は揖保乃糸の伝統手延べ技術ならでは。なめらかな口当たりとツルっとした食感が抜群のうどんです。茹で時間が4分と短く、キリッと冷やしてざるうどんで食べていただくのがおすすめです。薄いのに小麦の味はしっかりモチモチで、リピーターも多い隠れた人気商品です。
揖保乃糸は中華麺も手延べ製法で。中華麺特有の風味と食感を引き出すために、小麦粉を厳選し、吟味を繰り返して独自の配合で調整しました。茹で時間は3分で、コシがありツルッツルの舌触りが特徴です。存在感のある麺なので、冷やし中華やざるラーメンがおすすめです。焼きそばにしてもおいしいですよ。
森口製粉製麺オリジナルの「酢みそつゆ」との相性も抜群なのでお試しください。
揖保乃糸というからには、パスタももちろん手延べ製法でつくっています。
パスタといえばデュラムセモリナ粉100%なイメージですが、手延べ製法でつくるためにデュラム小麦をはじめ、独自にブレンドした小麦粉を使用しています。普通のパスタに比べると手延べならではのソフト感と細さが特徴です。
茹で時間は2分とそうめんなみの手軽さで、しっかりとしたコシとツルみを実現。喉ごしの良さを堪能するなら冷製パスタ、細めの麺がソースによく絡むのでクリームソースやオイルソースがよく合います。