
森口製粉製麺では、揖保乃糸や自社商品のほかにもいろいろな麺づくりのお手伝いをしています。和歌山県かつらぎ町のたねなし柿を使った「ゆらりファームの柿そうめん」もそのひとつ。
商品化したのは今から2年前のことで、当時まだ農業高校に在学中だった城向ゆらさんから「柿を使ったそうめんをつくりたい」と相談いただいたのがきっかけです。柿とそうめん、不思議な組み合わせに見えますが、ゆらさんは最初から「そうめんがいい」と思っていたそうです。滑らかなのどごしや食感はそのままに、後からふんわり香る柿の甘い風味は温かいにゅうめんにも冷たいそうめんにもぴったりで、発売から2年経った現在もゆらりファームさんの主力商品として人気を博しています。
今回はそんなゆらりファームさんの柿そうめんの開発秘話を紹介したいと思います。
ゆらりファームさんのある和歌山県かつらぎ町はフルーツ王国として有名。なかでも柿は1970年代後半からずっと生産量日本一を誇るかつらぎ町の一番の名産品です。新鮮なフルーツとしていただくのはもちろんのこと、串柿やあんぽ柿、柿の葉寿司、柿酢などの伝統的な加工品もたくさんあります。

そんなかつらぎ町で生まれ育ち、小さい頃から地元の果物が大好きだったゆらさんは地元の県立紀北農芸高等学校の生産流通科・製造コースに進学。子どもの頃に近所の農家からおすそ分けしてもらった果物の多くが規格外で商品化できないものだったと知り、「こんなにおいしいのにもったいないなと思ってました。学校で学んだ知識やアイデアで柿の6次化について考えたときに、自分でやりたいと思った」とのこと。
当時のゆらさんはまだ高校2年生で、高校生では起業の条件が満たせず、学校の先生からも「卒業してからでいいのでは?」と言われたものの、「かつらぎ町のために今すぐできることをしたい」と強い意志を持っていました。ゆらさんの気持ちを知ったご家族が、自宅の物置を加工場に改築し、高校生では条件を満たせない衛生管理責任者の資格もお父さんが代わりに取得してくれたそうです。開業資金はクラウドファンディングで募り、高校2年の夏に「ゆらりファーム」が誕生しました。

夏に開業して、9月入ってすぐに商品開発に着手。「一番最初にできたのは規格外のたねなし柿を使った柿ジャムです。柿ジャムをつくるために柿の皮を剥くと、今度は柿の皮が大量に出て、これもなにかに使えないかなと考えていました」。いろいろな商品を考えるなか、近所の道の駅で見たそうめんに「これだ!」と思ったそう。
「和歌山は柿以外にもフルーツや野菜が有名で、道の駅にみかんや梅を使ったそうめんが置いてあったんです。梅やみかんがあるなら柿があったっていいはずなのにどこもつくってなくて、でもいろんなご当地そうめんがあるなら柿そうめんもお土産品として人気が出ると思いました」。

柿そうめんをつくりたいと思ったゆらさんは、いろんなそうめんの製麺所に問い合わせてみたものの、小ロットだったことや起業したばかりの高校生ということもあって、なかなか上手くいかなかったそうです。そのなかで「ゆらりファームさんの思いも素敵で、なにより面白そうだった。うちなら小ロットからつくれるので協力できるなと思いました」と快諾したのが森口製粉製麺 営業担当の舘(たち)さんでした。ここからゆらりファームさんと森口の二人三脚が始まります。
柿そうめんをつくることは決まったものの、柿の皮の加工にはとても苦労されたそうです。「かつらぎ町のたねなし柿は糖度が高くて粘度がすごいんです。皮むきのときにも機械に付くくらいで、最初はペースト状にして麺に練り込もうと思いましたが、粘度が高くてへばりつくので難しく…最終的には乾燥させて粉末状にしたものを森口さんに使ってもらっています」。粉末の粒の大きさも難しく、柿の皮感があったほうが独自性があっていいのではと大きい粉末で試作するとぼそぼそしてしまったり、逆に小さすぎたり少なすぎると柿の存在感がなくなってしまうと何度も試作を重ねて、完成したのが翌年の冬のことでした。

当時のパッケージは「女子高生が考えて作った」「柿が入ってる」とわかる可愛らしいデザインで、柿ジャムとともに大きな反響があったそう。特に甘い柿はもともと日本特有であり、そうめんも日本独特の食文化ということで、可愛いイラストも相まって外国人観光客がお土産として買っていくことも多いのだそうです。
「おいしいと言ってもらえるのも嬉しいですし、農家さんが喜んでくれるのも励みになります。町長さんが他府県に行かれるときにお土産として渡されると聞いて、かつらぎ町の名産品になれてるのかなと嬉しく思います」。

柿そうめん・ジャム等のラインナップ
現在は高校を卒業して、ゆらりファームの運営に専念できるようになったゆらさん。卒業に伴って、柿そうめんのパッケージもリニューアルしてオシャレな雰囲気になりました。農家さんから持ち込まれる果物も増えて、はっさくを使った和紅茶なども発売。「かつらぎ町だけじゃなく、和歌山といえばゆらりファームと思ってもらえるような商品をつくっていきたい」と今後の商品展開についても語ってくださいました。

ゆらりファームさんの柿そうめんの開発秘話はいかがでしたか?農家さんやかつらぎ町に対するゆらさんの気持ちが「柿そうめん」という商品にこめられています。森口としてもそのお手伝いができてとっても誇らしい気持ちです。柿を扱ったのは初めてのことでしたが、柿の風味を感じるおいしいそうめんができたと自負しています。

森口では、そうめんはもちろんのこと、そばやパスタ、中華麺、うどんなど乾麺全般をつくっています。ゆらりファームさんのように名産品の果物や野菜、特産品を使ったり、加工食品の規格外品を使ったり、お店のオリジナル麺やノベルティのための商品開発のお手伝いを行っています。本格的な乾麺を小ロットからでもつくれるのが森口の魅力です。アイデア段階からでもぜひご相談ください。
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